注・ネタバレあり
未読の方は読まないでね。
明け方の街。
姉妹を乗せたタクシーが走る。
暁光に陰る姉の横顔に、妹は死の予感を感じることはできなかった。
読み進めてわかる、それは黄泉の国へ片足を踏み入れた者の顔。
ふと、目の前からいなくなる。
残酷なまでに淡々と描かれる死。
このリアリティの恐怖。
むごい代償と引き換えに、妹が得た成長。
その後ろに、必ずや姉の情念が宿っているであろうと読者に確信させる作家の手腕。
そうだ、無垢にバレエに向き合ったあの子だからこそ、きっと妖精にもなれるのだ。
彼女の周りの、誰でもいい、誰か一人でも
「あなたは本当によく頑張った。辛かっただろう。もう頑張らなくていいよ。いまはただおやすみなさい。」
こう語りかけてあげたら、結果は違ったものになったかもしれないのに。
喪失感に打ちのめされています。
ショックでございました。
ひさしぶりに体が震えました。
第二部のスタートを、心から待っています。