小学校二年生の時千葉に引っ越して来てから、35歳になる現在までずっと空家だった家がある。
通っていた小学校と中学校の間あたり。
裕福な家が立ち並ぶ一角。
目の前には立ち木の並ぶ広い歩道。
建物の南側には日光をさえぎるものが無く大変日当たりがいい。
広そうな二階建て、庭付き駐車場付きのその家にはしかし、誰かが入居しているのを見たことが無い。
段々と荒れてきて、管理する者も無いのかと思っていたら、中学生くらいのころに駐車場が二台分に増設された。
賃貸か販売に回す気はあるということだろう。
しかし誰も入らなかった。
現在まで誰一人。
先日。
バドミントンに行く途中、その家が取り壊しの最中なのを見た。
なんとなく気になって、しかしすっかり忘れてバドを楽しんだ。
帰り道、携帯電話が鳴ったので停車してみると、まんまとその家の前だった。
呼ばれているような気がした。
寒気がして逃げた。
今、その家のある一角は区画整理され、綺麗な建売住宅が立ち並ぶ。
空家のあった土地に立つ看板。
「売り地」
今もそこだけ、そこだけポツリと更地になっている。
一体何があったのですか?
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